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岸田 今日子さん

kishida両国という町には、様々な人が様々な思い出を持っているようです。各界で活躍する方々にも、この町ゆかりの人物や両国ファンが少なくありません。今回は、女優の岸田今日子さんに両国の魅力をおうかがいしました。

●岸田さんにとって、両国は『シアター・カイのある町』というほど、あの劇場を気に入ってらっしゃるそうですね。
「そうなんですよ。平成5年6月、『ビリティスの詩』という作品が、シアター・カイとの出会いでした。この作品は、詩にドビュッシーの音楽がついてたりして、面白いからこれやりましょうと言ったら、劇場もぜひやりましょうと乗ってくださって。で、音楽は生で、絵のスライドを写して、しかもたった一晩だけという、とてもぜいたくな上演ができました。劇場の広さも雰囲気も素敵なのですが、何より芸術監督の上田美佐子さんがしっかりとしたポリシーを持ってらっしゃるのが素晴らしいですね。世の中には、申し込んできたら何にでも貸しちゃうという劇場も多いんですが、シアター・カイはそうじゃないんです。その劇場独特のレパートリィを持つって素敵でしょう。」
●決して大きくない劇場ですが。
「大空間ほどぜいたく、って普通は思われるけど、たとえばお茶室はその極地だけど、少ない人数で、同じ空間と時間を分け合い、同じ空気を吸うなんて、とてもぜいたくなことでしょ?シアター・カイは、まさにそんな空間です。とてもぜいたくな劇場だと思います。」
●江戸の町と言われる両国に、前衛的な劇場があるというのも不思議ですね。 
確かに両国と聞いて連想するのは、お相撲とか花火とか、古くからある日本的なものですよね。そういうものって、今の若い人たちにとっては、むしろエキゾチックなものじゃないかしら。エキゾチックな両国という空間で、時代の先端を行く芝居が演じられているという、微妙な、アンバランスな面白さがあると思います。『両国に前衛芝居を見に行く』なんて、どこかおしゃれですよね。」
●両国の町は、お歩きになりますか。
この前、春にシアター・カイでお芝居をしたとき、近くの公園に行ったんですね。そうしたらものすごい桜で、花びらが雪のように降ってきて。こういうのって、出会いですよね。劇場というのは出会いの場だと、私は思います。これからどんな作品と出会って、シアター・カイでどんな舞台が演じられるか、そしてどんなお客様と出会えるか、とても楽しみにしています。」

プロフィール
女優、作家。東京都杉並区出身。文学座、現代演劇協会附属劇団「雲」を経て、昭和50年、演劇集団「円」の設立に参加。舞台、映画、テレビでの活躍に加え、訳書、著書も多く持つ。


2004年11月04日 午後03:03 |by PRESSMAN

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