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馬場 修一さん(花工房 fiore B)

baba下町の小さな花屋は、
ニューヨークや臨海副都心で活躍する、
名アレンジャー。

青山でも渋谷でもなく、ちゃんと「日本」のある町で店を出したかった。

「いろんな偶然が重なって、今のぼくがいるんですよ」と馬場さんは笑う。「コンピュータの設計をやっていたんですけど、実家が農家ということもあって、いつか花の農家になりたいと思っていたんです。それなら花屋のことを知っておこうと、修行しに行った先が頑固なオヤジのいる水戸の花屋でね(笑)。殴られ通しで1年勤めて、どうせ苦労するなら東京へ行こうと、入ったのが、たまたま国賓クラスの晩餐会などのフラワーコーディネートを手がける名門だったんです」。
そこで14年間、みっちりと勉強をすることになる。東京へ出てきたのは、ちょうど子供が生まれる直前。「四畳半のアパートで、正に『神田川』の生活」をしながら徹底的にたたき込まれたのは、「花は粋に生けろ」という一点だったそうだ。
「ぼく自身、生け花の経験はありません。でも、西洋のモノマネだけはどうしてもしたくなかった。必ず自分の感覚、日本らしさを取り入れたかったんです」。
だから9年前に独立するときも、「できるだけ日本らしい町」を選んだ。それが両国だった。「青山、六本木、渋谷。あの辺は、もう日本じゃないでしょ。両国には、まだ江戸が残ってますからね」。


難しい注文ほど、燃えます。わけのわかんないお客とは、ケンカしちゃう。

開いたお店は、しかし、両国という町にあってもかなり異色だった。
「仕事の8割は、イベントのコーディネートなんです。海外での催しも多い。なのに店で普通の切り花を売ってちゃ、面白くないでしょ」。だから品揃えは、普通の花屋ではお目にかかれない野草が中心。「昔、じいさんに連れられて山道を散歩しながら、『この草は食べられるんだぞ』とか色々教わって。以来、野草が大好きなんです」。
一見、何でもない草花が、馬場さんの手にかかると、バラやかすみ草などありきたりの切り花では到底出せない味わいを見せるから不思議だ。地元の常連さんは、『ここでつくってもらった花束や直植えをプレゼントして、喜ばなかった人はいない』と言い切る。
「贈る相手の性別や年齢、込めたい思いなんかを伝えてもらえば、予算に合わせていかようにもアレンジします。難しい注文ほど好きですねぇ。以前、『これからディスコに行くんだけど、だれも持ってこないような花はないか』って人が来て、店先にあった育ちすぎのタケノコをアレンジして渡しました(笑)。いや、喜んでましたよ」。逆に、『何でもいいから適当に』と言われると、本当に適当にやってしまうらしい。「金を出すんだからあとはお前が考えろ、みたいなお客さんとは、ケンカしちゃったこともあります。でもウチは、切り花10本いくらという売り方をする店じゃないから。鉢ひとつ、花束ひとつにどんな思いを込め、どう表現するか、そこがウチの商品ですから。いい加減な仕事をするくらいなら、注文を断ります」。馬場さんに、フラワーコーディネーターという名称はふさわしくない。気っ風のいい「飾花職人」と呼んだら、ご本人は不満だろうか。
「予算は本当にご自由に。その範囲でアレンジしますから」と馬場さん。いわゆる花束より、懐石に使う食器に直植えしたアレンジメントがお勧め。『絶対に値段以上の見栄えがします。しかも銀座なんかよりずっと安い』とは常連の声。
フラワーアレンジメントの講習会も行っている。今年から青山のイベントスペースと契約して、個性的な披露宴のコーディネートも始めたそうなので、興味のある方はお問い合わせを。

●営業時間 10:00〜19:00 
 日曜祝日定休 
 墨田区両国2-18-10
 TEL 03-3846-9856


2004年11月04日 午後07:26 |by PRESSMAN

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