両国駅を出て、国技館とは逆の方向へ行こう。京葉道路と清澄通りが交差するあたりは、老舗揃いの両国の中でも名店が並ぶ界隈。清澄通り沿いにある「喜久や」さんは、和装に興味のある方ならずともぜひ訪れたい店だ。何しろすべて手作りで足袋を作れる職人は、ご主人の宮内梅治さん(67歳)を含めて日本に3人だけなのだ。
大相撲の名だたる関取衆、皇族の方々など宮内庁御用達の足袋をつくり続けて50年という宮内さんは、「あなたの靴は25センチだね。でも足の大きさは24センチだよ」と、姿を見ただけで足の寸法をぴたりと当てて驚かせてくれる。「もし1からつくり始めたら、1日で1足作り上げられない、足袋はそれほど手間のかかるものです。その代わり、足にぴったりと合いますから、疲れない。靴なんかより、ずっと健康にもいいですよ」とご主人。その技術は、文化庁に書面で保存されているという。オリジナル足袋は1足5000円、注文は半ダースから。ちなみにここは墨田区指定の「小さな博物館【足袋資料館】」でもある。
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