振袖火事で開創された「回向院」は、今や動物好きの”聖地“のよう。
両国駅の西口を出ると、目の前の大通りが国技館通り。これを右へ行けばすぐに国技館だけれど、今日は左へ向かってみよう。この先の下町に、江戸へトリップできるワンダーランドがあるのだ。
力士を型どったブロンズ像を眺めながら歩くと、国技館通りが京葉道路にぶつかった正面に、立派な山門が見える。「回向院(えこういん)」だ。
社務所で、一部百円のパンフレットを買って読む。回向院の開創は明暦三年(一六五七年)。この年、江戸市中の六割を焼き尽くした、振袖火事と呼ばれる大火があった。十万人以上の人が亡くなり、しかもそのほとんどが身元不明だったという。回向院は、そうした人々を供養するために開かれたのだ。院内を歩く。なぜか動物供養の碑が数多く目につく。最近では回向院はペット供養の寺院として有名なんだって。そもそも開創間もない頃、徳川家綱の愛馬を葬ったことから動物の供養が始まったらしい。あ、「愛犬クロ供養」なんて卒塔婆もある。
そうそう、動物といえば、あの鼠小僧次郎吉の墓もあるのだ。ほかにも歴史上の人物のお墓が数多くあるから、「お墓めぐり散歩」なんて裏ワザもありなのだ。
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