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オーミ-すき油の巻

P19_abura本場所中に両国の駅を降りると、甘く香ばしいような独特の香りが漂ってきます。力士たちのまげを結うのに使われる「ビン付け油(鬢付油:びんつけあぶら)」の香りです。実はこの油、一般の方でも買うことができます。

両国で唯一、ビン付け油を小売りしている森薬局さんをたずねました。
森薬局さんは、両国駅から回向院の方向へ歩いて2 分。見かけはどこにでもある薬屋さんです。「昔はこのへんの薬局は、どこでも扱
っていたんですけどね。気がついたらウチだけになっちゃいましたね」。そう言いながら案内してくださった店内の一角には、ビン付け油や湿布薬、サポーターなどが並んだ『力士コーナー』がありました。
「関取になると、部屋の床山さんが頭をやってくれるでしょ。だからウチに来るのは、まだ髪を結えない、ざんばらに伸ばした若い衆です。ちょうど相撲教習所が終わったくらいの時間に、わーっと買いに来ますよ。この狭い店ん中に、相撲取りが20人くらい入っちゃう(笑)」。
そもそもビン付け油とは何なのでしょうか。「江戸時代に、下級武士の間でいかついヒゲ姿がはやって、それを固めるのに松の脂とロウを混ぜて使ったのが始まりらしいです。今は菜種油とハゼの実から採った木ロウをこねてつくってます。これを卸してもらってる江戸川区の
島田さんが、もう日本で唯一のビン付け油製造業者じゃないかな。原料のハゼの木も栽培者が減って、何年か前に『オーミすき油』の値段も倍ぐらいに上がったんですよ。それでも1 0 0 グラム9 5 0 円。高いもんじゃないよね」。お客さんの99%は相撲取りですが、まれにお土産にと買っていく方もいるそうです。「髪にはとてもいいんだけど、洗い落とすのが結構大変なんですよ。それと、ナマモノだから長く置いておくと腐っちゃうことも。こんなものだけど、なかなか扱いが難しいんですよ」。ですから、お買い上げの際は、くれぐれもご注意を。


2004年11月09日 午前10:08 |by PRESSMAN

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